あらすじ
昔々、あるところに正直なおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある大晦日、二人はこんな話をしました。
「おじいさん、もう歳をとって、子供もいないから、どうやったら楽に死ねるかな…」
「そうね、簡単に死ぬのは難しいかもしれないね。」
「じゃあ、フグを丸ごと食べてみるか?」
おじいさんはフグを一匹買ってきて、鍋に入れて煮ていました。すると、家の中を覗くものがいました。それは、髪がぼうぼうのやせたじいさんでした。
「いやあ、いい匂いだな。お腹がすいてたまらん。どうかごちそうしてくれ。」
「ごめんよ、これは人が食べられない魚なんだ。あげるわけにはいかない。」
「なんで、食べられない魚を煮るんだ?ひときれでいいから、お願い!」
「絶対にダメだよ。」
しかし、そのじいさんは勝手に家に入り、鍋の蓋を開けました。
「ほんのひときれでいいよ。」
あっという間に、そのじいさんはフグを口に入れてしまいました。
「これは美味い!もっと食わせてくれ!」
どんどん食べ続け、鍋が空っぽになると、じいさんはその場に仰向けになって死んでしまいました。
びっくりしたおじいさんが言いました。「ばあさま、正月が来るのに、こんな死体をこのままにしておけないよ。」
「本当にそうね。」
「そうだ、土間にむしろを敷こう。私が運んでいく。」
おじいさんは死んだじいさんを背負って、土間のむしろの上に置き、見えないように藁を掛けました。
正月が過ぎて、こもを取ってみると、じいさんの姿はなく、何かが引っかかっていました。
「これは何だろう?」と、ばあさまが手にしたのは両手いっぱいの小判でした。
「ありがたいことだ!お前の代わりにフグを食べてくれて、小判をもらったんだ。」
「これはきっと年神さまだわ。」
それから、おじいさんとおばあさんは、正月が来るたびに部屋の奥にこもを掛けて、「また来てください。大事にします。」とお祭りするようになったのでした。


















































