のみくすり
のみくすり

2024/10/20(日)

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あらすじ

昔、村や町を旅してくすりを売る行商人がいました。昭和の初めには、大きなくすり箱を背負った行商人が家々を回っているのが見られました。中には、とても話のうまい者もいて、面白い話をたくさん聞かせてくれました。

ある日、一人の男が一日の商いを終えて、古い宿に泊まることになりました。男は、村や町を旅してくすりを売る行商人でした。その宿はとても古く、見た目もみすぼらしく、他に宿が見当たらなかったため、仕方なく泊まることにしました。

「うーん、疲れたなぁ」と男は思いましたが、なかなか眠れませんでした。なぜなら、蚤に何度もかまれてしまったからです。男は小さな蚤を捕まえてつぶし、もう一度寝ようとしましたが、また痒くなってしまいました。体には赤い斑点がいっぱいです。

「もう一度、この宿に泊まるなんて考えたくない」と男は考えました。そんなある朝、男は宿のおかみさんに捕まえた蚤を見せて言いました。

「おかみさん、見てください!蚤です!一晩でこんなに捕まえました。」

おかみさんは軽く見て、「あら、蚤じゃないですか。虱にかまれるよりはいいですよ。心配いりません。」

男は声を潜めて言いました。「実はこれ、いいお金になるチャンスなんです。国に戻ったら、私の働いているくすり屋に蚤を高値で売れるんですよ。」

おかみさんは驚いて「まさか、蚤がくすりになるって?一体、どんな病に効くんですか?」

男は続けました。「蚤を乾燥させて粉にして、薬草と混ぜるんです。でも詳しいことは話せません。絶対に高値で売れますよ。」

約束通り、三日後に男は宿のおかみさんの前に現れました。久しぶりの再会に、おかみさんは嬉しそうでした。

「見てください!この袋の中には蚤がたくさん入っています!」おかみさんは誇らしげに言いました。

男は「まずはご飯を食べて、少し寝かせてもらいますか」と言い、疲れて部屋に戻りました。彼は蚤のいない布団でぐっすり眠ることができました。

次の日、男はおかみさんに満面の笑みで言いました。「大事なことを言い忘れていました。蚤を売るときは、蚤を数える必要があります。だから、串が必要です。一本の串に二十匹の蚤を刺しておいてください。」

おかみさんは「わかりました!」と答えました。

男は満足そうに宿を後にし、「また戻ってきますから、その時まで蚤を用意しておいてください!」と言い残しました。

この時が、おかみさんにとってその行商人との最後の出会いでした。男はその後、二度と宿を訪れることはありませんでした。


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