水の漏れる桶
みずのもれるおけ

2024/10/20(日)

水の漏れる桶の画像

あらすじ

むかし、むかし、ある山国に、大きなお屋敷を持つ長者が住んでいました。その屋敷には、たくさんの下女や下男が働いており、特に厨房で水汲みを担当している若者もいました。彼は毎日、朝から夕方まで近くの川に行き、桶に水を汲んでは、天秤棒で担いで屋敷へ戻ってきました。その技は本当に見事でした。

ある日の帰り道、若者は一つの桶から水が漏れていることに気づきました。「あれ?水が漏れてるな」と若者は思いました。すると、突然ため息が聞こえてきました。「誰だ?」と振り向いても、誰もいません。すると、今度ははっきりとした声が聞こえました。「困ったな、どうすればいいんだ。」

「一体誰なんだ?」若者は尋ねました。「ごめんなさい、僕です。」驚いたことに、その声の主は桶でした。「すみません。水漏れで、もう僕には力がないんです。水を入れてもらったままにできないんです。」

「君、どうしたいんだ?」若者が聞くと、桶は泣きそうな声で言いました。「あちらの兄を見てください。水を満々と湛えて、誇らしげです。それなのに僕は役立たずです。情けないです。」

「くよくよしないでよ、」若者は励ましました。「君たち兄弟のおかげで、僕は水を運べるんだ。君が思っている以上に助かってるよ。」

それからひと月が過ぎました。再び川へ行く途中、若者は水漏れ桶に言いました。「君の足下を見てごらん、何か変わってない?」

桶は驚いて答えました。「そうですね、くさむらに花が咲いています。そして、花の上に蝶々が飛んでいます!」

「そうだよ。君はいつも水漏れをしているから、僕はそれを利用して、山道に種を蒔いたんだ。」若者は説明しました。「去年の秋、屋敷の庭から花の種を採っておいたんだ。君が撒いてくれた水のおかげで、地面に湿り気ができたんだ。」

若者は続けました。「見てごらん!草や花や蝶々、すべて君が命を与えたんだよ。幸せそうで、楽しそうだね。確かに君は水漏れ桶かもしれないけれど、君と僕でこのきれいな山道を作ったんだ。君は素晴らしいよ。」

桶は周りを見回して、驚きに目を輝かせました。「わあ!すごい!こんな素晴らしい褒め言葉は初めてだ!」と桶は心から喜びました。「僕、自信が出てきました。ありがとうございます!」

こうして、若者と桶はお互いを励まし合い、素晴らしい成果を見つけることができました。おしまい。


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