あらすじ
むかし、あるところに話好きなお殿さまがいました。お殿さまはいつも「まさか」と言って話を途中で止めてしまうため、誰もお城に訪れることがなくなりました。そこで、お殿さまはお触れを出しました。「おもしろい話で我に『まさか』と言わせた者には、大判一枚を与えよう。」
人々はこぞって奇抜な話を考え、お城へ赴きました。しかし、どんなに面白い話をしたとしても、お殿さまは決まり文句を口にせず、誰も褒美をもらえませんでした。
再びお触れが出されました。「おもしろい話で我に『まさか』と言わせた者には、大判二枚を与えよう。」ある日、一人の老人がやってきて言いました。「わたすの話は大そうおもしろいので、まさかと思うことでしょうが、心して聞いてください。」
老人は語り始めました。「これはたいそう狩りの好きなお殿様のお話です。ある日、そのお殿様が狩りに出かけたところ、トンビが飛んできて、うんちを落としました。それが、お殿様のはかまの上に。」お殿様は思わず「まさか」と言いそうになりましたが、手で口を覆いました。
老人は続けました。「家来が言いました、『けしからん。お許し願えれば、せっしゃが弓で射落とします。』」お殿様は苦笑いし、「いやいや、その必要はない。はかまを着替えればすむことじゃ。」と答えました。
その後も状況は続き、またトンビが飛んできて、今度はお殿様の着物にうんちが落ちました。「まさか!」と思いましたが、再び口を押さえました。さらにもう一度トンビがやってきて、今度はお殿様の頭にうんちが落ちました。
ついにお殿様は耐え切れず、刀を抜き、自分の頭を切り落としてしまいました。「何だと、まさか!」お殿様は言って、うらやましくなって老人の襟首をつかみました。
老人は満足そうに言いました。「ありがとうごぜいますだ。やっと聞けただ。大判二枚くだしゃれ。」
このようにして、お殿様の好奇心と、おじいさんの巧妙な話術が交わり、二人は楽しむこととなりました。

















































