金屏風
きんびょうぶ

2024/10/19(土)

金屏風の画像

あらすじ

むかし、小さな村に古いお寺がありました。お寺を守っていたのは年老いた和尚さんでした。ある日、村は台風に襲われ、たくさんの家が強風で壊れてしまいました。お寺も例外ではなく、本堂の壁が大きく剥がれ、穴が開いてしまいました。和尚さんは次の日曜日に檀家の人々を集めて説法をする予定でしたが、壁を直すのは難しいと思い、とりあえず何かで穴を隠そうと考えました。

和尚さんは骨董品を売る店を訪れました。店に入ると、夕日が当たった金屏風が光り輝いていました。その屏風はところどころ金箔が剥がれていましたが、とても美しかったのです。店主は「大きすぎて誰も買わないが、買うなら値引きする」と言いました。和尚さんはこの屏風が壁の穴を隠すのにちょうど良いと思い、購入することにしました。

お寺に戻ると、門のところにみすぼらしい老婆がいました。初めて見る顔でしたが、どこか優雅さがありました。老婆は迷っている様子でしたが、和尚さんに「しばらくお寺に泊めてほしい」とお願いしました。台風で家が壊れてしまったのです。和尚さんは気の毒に思い、老婆を中に入れることにしました。

翌日、屏風が届きました。和尚さんはそれを本堂の穴の前に置きました。すると、老婆がそれを見て目を丸くしました。老婆は涙を流しながら言いました。「この屏風、実は私のものでした。夫から結婚の記念に贈られたものです。私の屏風には日付が入っているはずです。」

老婆が屏風の裏を見てみると、日付が入っていました。老婆は驚き、「昔はお金持ちの商人の妻でしたが、40年前の大地震で家族を失い、記憶を失ってしまったのです」と話しました。

和尚さんは驚いて、「この屏風を返してもらいたいですか?」と尋ねました。老婆は「夫の愛の証ですが、持つことはできません。このお寺が屏風には最もふさわしい場所だと思います」と答えました。

次の日曜、本堂には多くの檀家が集まりました。説法中、一人の老人が屏風をじっと見ていました。和尚さんはその老人に声をかけました。「屏風が特に気になるようですね。」

老人は涙声で「40年前の地震で家族を全て失った。あの屏風は妻にあげたもので、裏に日付があるはずです」と語りました。すると和尚さんは、「その日付、あなたの妻が書いたものです。このお寺におられますよ」と言いました。

古い屏風のおかげで、年老いた夫婦は40年ぶりに再会することができ、二人は幸せに暮らしました。めでたし、めでたし。


: 50


寓話

物語

関連

© 2025 新解釈物語 | All Rights Reserved.