夫を亡くした女今昔物語
おっとをなくしたおんな

2024/10/18(金)

夫を亡くした女の画像

あらすじ

今は昔、某の国、某の郡にある女が住んでいました。その親は娘に

婿をとり一緒に住んでいましたが、婿が死んでしまったので、親はま

た娘に別の男をあてがおうとしました。娘はこれを聞いて母親に次の

ように言いました。

「私は夫に最期まで連れ添う運命にあったならば、前の夫が亡くなる

ようなことにはならず、添いとげることができたはずです。私が夫に

添いとげられない運命にあったので、夫は亡くなったのでしょう。例え私がまた夫をもったとしても、

私の運命ではその方にも死に別れることになるに違いありません。ですから、このお話しは止めてく

ださい。」

母親はこれを聞いて大いに驚いて、父親に報告すると、父は

「わしはもう年老いている。間もなく死ぬことにもなろう。その時おまえはどのようにして生きてい

こうとするのだ」と、強引に話しを進めようとしました。

すると、娘は父母に次のように言いました。

「この家には巣を作って子供を産んでいる燕のつがいがおります。そのオスの燕を殺して、メス燕に

目印をつけて放してみてください。来年にそのメス燕が他のオス燕を連れてくるようなら、私に夫を

世話してください。動物でさえ夫と死に別れて他の夫を迎えることはありません。いわんや人は動物

よりも心をもっているはずです。」

これを聞いて両親は「なるほど、それもそうだ」と合点し、その家に巣を作って子供を産んでいる

燕を捕らえて、オスを殺して、メスには赤い糸を首につけて放しました。

翌年の春、燕がやってくるのを待っていると、首に赤い糸をつけた例のメス燕がオス燕を連れずに

来ました。そのメス燕は巣を作ったが、卵を産むことなく夏の終わりには飛び去りました。

これを見た両親は、「ほんとうに、おまえの言う通りだ」と了解して、娘に再び夫をあてがおうとい

う気持ちがなくなりました。


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