7歳になったら
ななさいになったら

2025/3/26(水)

あらすじ

小学校一年生の下平一海は、誕生日まであと四日という切なさと期待を胸に過ごしていた。学校では、友だちが突然跳び箱を軽々と飛び越え、「もう7さいだから、君もすぐできるようになる」と不思議な言葉を投げかけられ、心のどこかで自分にも特別な何かが起こると感じていた。

その日の放課後、一海は塾に向かうためバスに乗ったが、疲れと長い授業で気付くと居心地の悪い見知らぬ街角に立っていた。薄暗い路地と静まり返った風景に、一海の胸は不安でいっぱいになる。そんな中、突然目の前に自分そっくりの少年が現れるのだった。

少年は、まるで鏡に映ったかのような容姿で、一海に穏やかな微笑みを浮かべながら「ずっと君を待っていた」と語りかけた。その声は、自分自身の内面から響いてくるかのようで、一海は恐怖と好奇心が交錯するのを感じる。少年は続けて、この場所が7さいになる瞬間だけ現れる「時空の狭間」であり、君は自らの成長を選び取る試練の前に立たされていると告げる。

驚く一海に、少年はさらに一つの衝撃的な真実を明かす。実は、その少年こそ未来から来た自分自身であり、今の自分が恐れを乗り越え、選択の勇気を持つ時、未来が変わるというのだ。ふたつの自分は、言葉なき約束のように互いの手を取り合い、次第に不思議な風景は消え、気が付けば元のバス停に戻っていた。

遊園地へ向かう途中、一海は窓越しに自分の影を見るたび、あの奇妙な午後の体験と未来の自分から託された勇気を思い出す。7歳という節目は、ただの年齢の境界ではなく、真の自分と向き合い、成長するための大切な分岐点であったのだ。


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