ビデオドラッグ
びでおどらっぐ

2025/3/26(水)

あらすじ

東都大学の心理学研究室で助手を務める鳴海奈津子は、ある日不可解な事件の噂に心を躍らせた。

学生たちは、とある古びたビデオテープに強烈に魅了され、ナイフを手に自らの眼や他者の視線を奪うという凄惨な行動に出ていた。彼らは必ずというほど、そのビデオテープをダビングし、その映像に宿る呪縛に翻弄されているという。

奈津子は疑念と好奇心に駆られ、事件の背後にある真実を探るため、ひっそりと調査を開始する。薄暗い映像の中には、幻のような儀式と、眼を失いながらも徒然に彷徨う影が映し出され、その不気味な光景は観る者の心に狂気の種を蒔くかのようだった。

次第に明らかになるのは、学生たちの行動が、彼女自身の密かな実験―催眠プログラムの暴走―によって引き起こされていた事実。すべては、奈津子が人間の深層心理を解放するために作り上げた映像実験の一部であり、その映像は無意識の闇を具現化したものだった。

そして、驚くべきオチが待っていた。真犯人は誰でもなく、被害者とされる学生たちもまた、奈津子の内面から湧き上がった狂気の投影に過ぎなかった。自らの心の奥底に潜む闇が現実と幻想を溶かし、すべてを混沌の渦へと誘ったのだ。

その瞬間、奈津子は自らが作り出した「ビデオドラッグ」の呪縛に囚われ、加害者であり被害者である自分自身の存在に絶望する。現実と虚構の境界が消え去った世界で、彼女は永遠に迷い続ける影となり、物語は深い闇の中へと幕を下ろした。


: 50


寓話

物語

関連

© 2025 新解釈物語 | All Rights Reserved.