あらすじ
えいこは小学五年生。ずっとあかずきんちゃんになりたくて、学芸会の準備に胸を躍らせていた。しかし、先生や友だちの意向で、あえてオオカミの役を頼まれてしまった。戸惑いと不安を胸に、練習に励む日々の中、ひとりの不思議な少女、かえこが静かに寄り添うように現れた。かえこは柔らかな声で『わたしがそのおおかみをやってあげる』と告げ、えいこは思い切って替え玉を依頼することにした。学芸会当日、観客席がざわめく中、舞台に現れたかえこは、まるで本物のおおかみのごとく迫力を放ち、役どころを見事に演じ切った。ところが幕が下りた後、えいこは舞台裏で一枚の紙切れを見つける。その紙には、かえこの筆跡で『この役はわたしのすがた。あなたはもうもとにもどれない』とだけ書かれており、かえこの姿は忽然と消えていた。突如、冷たい風が吹き抜け、えいこの内側からはおおかみの遠吠えが響き渡る。まさに替え玉が、現実と虚構の境界を曖昧にする呪いの使者であったと、えいこは恐る恐る気づくのだった。

















































