あらすじ
夏休みの深夜、薄暗い校内に不吉な空気が漂っていた。小学校教諭の相川は職員室で静かな当直の時を過ごしていると、電話が鳴った。留守電ではなく、昔実習に来た大学生チサ子の、どこか物悲しい声が響く――「実は、忘れ物を取りに来たの」
戸惑いつつも相川は彼女に内密に校内へ入るよう促す。数分後、正門は確かに施錠されているはずなのに、チサ子は静かに校内へ現れた。不審な点検を依頼された二人は、暗い廊下や錆びた階段を慎重に歩き始める。
歩みながら、相川はこの学校に伝わる伝説『階段の花子』について語り出す。かつて、階段での事故で命を落とした少女の霊が、深夜に現れるという噂だという。話を聞くチサ子の瞳には、どこか遠い記憶と悲哀が宿っていた。
やがて、二人は不気味な階段にたどり着く。突如、背後からかすかな足音が聞こえるが、振り返っても誰の姿もない。だが、薄闇の中に白いワンピースを纏った幼い少女のシルエットが、一瞬、はっきりと浮かび上がったのだ。
恐怖にかられた相川に、チサ子は低く静かな声で告げる。「私…実は、私こそ花子さんなの」その瞬間、相川の脳裏に忘れていた記憶が走る。かつてこの学校で命を落とし、今や自分もまた生者の面影を失った霊であると。
真実は、二人がそれぞれ孤独な運命の中で、永遠にこの校舎に縛られる霊であったということを告げていた。現実と幻想の狭間で、相川とチサ子――かつての自分たちの姿は重なり合い、最後には悲しみと共に消えていく。これが、伝説に隠された恐ろしくも奇妙な結末であった。

















































