整理癖
せいりへき

2025/3/26(水)

あらすじ

外科医の松村靖男は、病院内で誰もが認める整理中毒者だった。彼は、手術器具からカルテに至るまで、すべてが完璧な位置にあることに生きがいを感じていた。毎朝、静かに五十音順にカルテを並べる中で、あ行とら行のバランスが崩れていることに、密かに苛立ちを覚えていた。ある日のこと、いつものようにカルテに目を通していると、あ行の患者記録が異常に多いことに気付く。その直後、救急車のサイレンが病院に鳴り響き、大規模な交通事故の急患たちが次々と運び込まれた。運ばれてきた患者は、皆「あ」から始まる名前を持っており、松村はこれを奇妙な偶然として、どこか安心感すら覚えた。ところが、治療が進むうちに、患者たちの容態が急変し、診断の見逃しやミスが次々と報告されるようになった。混乱の中で、松村は自分があまりにも整理に没頭するあまり、患者一人ひとりの大切な症状を見落としていたことに気付く。驚愕と同時に、自分の完璧主義が引き起こした医療の現場での重大な誤りが、事故という形で暴かれたのだ。最後に、全ての秩序が一瞬にして崩れ去る中、松村は自らの執着が招いた皮肉な運命と、取り返しのつかない惨劇を目の当たりにし、絶望の淵に沈むのであった。


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