あらすじ
塚地は『はねるのとびら』の収録を終えた後、ふと足を運んだほぼ100円ショップで、一際輝く指輪に心を奪われた。スタッフの一声に背中を押され、その指輪を譲り受けた。初めはただのお手軽アクセサリーと思われたが、翌日から彼の生活は一変する。突然、テレビCMに抜擢され、映画の主演の話が舞い込むなど、栄光の連続。だが、その輝かしい成功の影には、次第に不思議な代償が忍び寄っていた。
ある晩、塚地がひとり帰路につくと、薄明かりの中で、顔に深い皺を刻んだ一人の老婆と、数人の老人たちが待ち受けていた。彼らは、塚地を見て「なですま」と優しいながらもどこか重い口調で呼びかける。老婆は、低い声で告げた。「この指輪は、喜びと呪いが共存する品。あなたに輝かしい幸運をもたらす代わり、かけがえのないものを静かに奪っていくのです。」
最初は半信半疑だった塚地。しかし、日常の中でふとした瞬間、失われた時間や大切な記憶のかけらに気づくようになる。華やかな舞台での歓声も、ふとした隙に心の奥底を冷やす影に変わっていった。遂に、塚地は指輪の呪縛を断ち切ろうと必死に試みるが、指輪は頑なに彼の指に絡みつき、決して離れることはなかった。
そして、オチは衝撃的な形で訪れる。老婆の最後の呟きとともに、塚地は悟る。栄光と歓喜の裏側で、指輪は彼の大切な日常、笑い、温もり、そして未来さえも、ゆっくりと奪っていたのだ。最終的に、塚地は永遠の『なですま』として、成功の代償と孤独を背負い、誰も記憶しない影の存在となって消えていった。それは、幸運には決して無償の喜びだけでなく、必ず高い代償が伴うという、皮肉な宿命の物語であった。

















































