あらすじ
只野一郎は、夜の静寂の中で取り返しのつかない過ちを犯し、愛する妻を命を落とさせてしまった。罪と後悔に苛まれた彼は、翌朝、決心を固め警察署へと足を運ぶ。署内は冷たい蛍光灯の下、無表情な受付の女性職員が書類をめくる音だけが響いていた。小さな震える声で「自首したい」と告げると、女性は淡々と「本署で扱っている事件ですか。届け出は済んでいますか」と問い、只野が「殺したばかりです」と答えると「それなら1番窓口へ」とだけ告げた。
期待と不安を胸に1番窓口へ向かった只野は、そこでまるで定型文の読み上げのような一連の質問に直面する。現場の住所、被害者の氏名、被害者との関係、事件発生の時刻……すべてがマニュアルに則った機械的な問いであり、彼の内面に燃え上がる絶望と苦悩は、冷たいデータの一行に過ぎなかった。担当者がコンピューター画面を見つめ『記録完了。これにて手続は終了です』と告げた瞬間、只野は自首を通じた罪の裁きではなく、ただの事務処理の一部にされてしまった現実に凍りつく。
混乱と無力感に襲われながら、彼は窓口の無機質なアナウンス―『次のお客様、1番受付へ』―を聞く。皮肉なほど淡々と進む手続きの中で、只野は自分の人生が冷たいマニュアルの一項目として処理され、感情や人間らしさを失っていたことに気づく。オチ:自首という最も重大な決意が、結局は定型の手続きに消され去る――彼の罪も存在も、ただ一つのデータ項目に過ぎなかったのだ。

















































