あらすじ
福山聡は、ある雨の日に家具店でひときわ目を引く二人がけの椅子『ラブチェアー』を見つけ、即決購入した。届いたその椅子はどこか神秘的な輝きを放ち、彼の心に暖かな安堵とともに奇妙な予感を抱かせた。
やがて、隣に住む早乙女麦子が偶然にもその椅子に魅せられ、次々と福山の家を訪れるようになる。最初は笑顔と会話に彩られた穏やかな日々だったが、次第に麦子の態度は常軌を逸したものに変わっていった。彼女は椅子に身を委ねる時間が長くなると、誰にも聞こえぬ低い声で話しかけ始め、「椅子が私に語りかける」と囁いた。
ある晩、福山がふとリビングに入ると、麦子はラブチェアーの前で妙な踊りを踊っており、冷ややかな笑みをたたえていた。「この椅子があれば、私たちの愛は永遠になる」と、彼女は言い放つ。その瞬間、福山は背筋が凍るような違和感を覚え、麦子の錆びたような孤独と狂気に気づいた。
クライマックスの夜、麦子は突然、福山を無理やりラブチェアーに押し込み、その腕を激しく掴んだ。抵抗する間もなく、福山は椅子の不思議な力に囚われ、次第に意識を失い始める。オチとして明かされたのは、幼少期から孤独と恐怖に苛まれていた麦子が、この椅子に唯一の安らぎと絶対の力を感じ、己の狂気をその象徴と化していた事実であった。最後に、椅子はまるで生き物のように、二人の魂を吸い込むかのように闇へ消え、麦子の異常な愛情は永遠の呪縛として残された。

















































