あらすじ
藤堂和音は、華麗なピアノ演奏で多くの人々を魅了していた。しかしある晩、リサイタルからの帰宅途中に突如として交通事故に巻き込まれ、右腕を失ってしまう。病室の薄暗い窓からは、未来への絶望が漂っていた。
そんな中、ひょんなことから現れた担当医・藤井医師は、従来の医学を超えた奇抜な治療法を提案する。彼は自然界に隠された驚異―トカゲが失ったしっぽを再生する秘密に着目し、「人も再生が可能だ」という信念を抱いていた。藤井医師は、地下にひそむ秘密の実験室で、稀少な生体組織と特殊な薬剤、そして一匹の異様なトカゲを用いて手術を施す。
治療は容赦なく進行し、和音の新たな右腕は、時間とともに滑らかな皮膚の代わりに爬虫類の鱗で覆われた奇怪なものへと変貌していく。数週間後、和音は再びピアノの前に座った。新たな腕は驚くべき機能を発揮し、彼の指先から放たれる音色は、これまでの演奏とは全く異なる不気味な響きを持っていた。聴衆はその幻想的な旋律に魅了されると同時に、どこか異界へと引き込まれるような錯覚に陥った。
そして、運命の夜。演奏中、和音の腕から光と奇妙な液体が溢れ出し、彼自身が制御不能な変貌を遂げる。藤井医師は冷徹な面持ちで告げた。「この治療は、ただ肉体を再生させるだけではない。お前の魂の一部を、トカゲの再生力と引き換えにしているのだ」。その瞬間、楽屋の片隅から巨大なトカゲが姿を現し、低くうなりながら和音を睨んだ。
真相は、医学の奇跡ではなく、古来より伝わる呪縛の契約であった。和音は右腕を取り戻したが、その代償として、永遠に半人半獣の存在となる運命を背負うことに。彼の演奏は伝説となり、歓喜と恐怖が入り混じる中で、聴衆はその音色に囚われ、決して元の世界へ戻ることはできなかった。

















































