あらすじ
別所右は、新任英語教師として3年7組の教室に足を踏み入れた。初めての授業に胸を高鳴らせ、出席簿を握りしめると、生徒たちは一斉に起立し、きびきびと礼を整えて迎えた。だが、今日の授業を見守るはずの教頭の姿はどこにもなく、教室内には妙な静寂と不穏な空気が漂っていた。
授業が進むにつれ、別所は後ろの方からかすかな囁き声や、はっきりとしない影の動きを感じ始める。生徒たちは一切動じる様子を見せず、ただ淡々と教科書に向かうだけ。その様子に疑念を抱いた別所は、授業終了後、教室内を見渡すと、机の隙間から埃をかぶった一通の古びた手紙を見つける。手紙には『あなたはここで永遠に教え続ける存在。運命の輪は既に回り始めた』と、どこか意味深な字で記されていた。
混乱と不安を抱えながら、別所は校内を捜索するが、教頭の姿は依然として見当たらなかった。薄暗い廊下を歩いていると、背後から自身と瓜二つの幽霊のような影がゆっくりと近づいてくるのを感じる。その瞬間、別所は背筋が凍るような衝撃を受ける。気がつけば、目の前に現れたのは――自分自身のまねた幽霊であった。
自らの存在が次第に崩れ去っていく感覚の中、別所は理解する。彼は、かつてこの学校で命を落とし、知らぬ間に永遠の授業のループに捕らわれた霊であったのだ。そして、いつも現れるはずの教頭は、生者と死者の境界を越え、彼を現世に留めようとするための仕掛けに過ぎなかった。最後に、幽霊となった自分自身が、静かに『今日の授業は終わりだ』と囁くと、教室は再び静寂に包まれ、翌朝の始まりと共に、同じ奇妙な運命の輪が静かに回り出すのだった。

















































