瞳の中へ
ひとみのなかへ

2025/3/26(水)

あらすじ

麻奈子はある日の朝、ふと落ちていた一枚のチラシに目をとめた。そこには『高級コンタクト大廉売』という怪しげな文字が輝いており、普段は用心深い彼女をも、なぜか引き寄せる力があった。好奇心と不安を胸に、麻奈子は記された住所へと足を踏み入れる。

店先は薄暗く、時代を感じさせる古い建物。中に入ると、にやりと笑む男が待っていた。男は低い声で「これこそ運命を変える一品だ」と告げ、怪しげな雰囲気の中で一対のコンタクトレンズを差し出す。何かに取り憑かれたように、麻奈子はその言葉に従い、商品を購入してしまう。

翌朝、コンタクトを装着した麻奈子は、すぐに異変に気づく。通りで目を合わせた人々が次々と倒れていく。最初は偶然かと思われた出来事が、次第に明らかな因果関係を示し始めた。恐怖と絶望が彼女を包む中、麻奈子は自らが呪縛の中心であることに気付く。

困惑と後悔の中、彼女はかつての自分の記憶を辿るため、あの怪しげな店を再び探し求める。しかし、店は跡形もなく、風に舞うチラシだけが残されていた。途方に暮れていたその時、静かな公園で謎めいた老女と出会う。老女は淡々と、これらのコンタクトが持つ呪いの由来を語る。「これは、あなたの心の闇と過去の罪を映し出す鏡です。目を合わせた者の運命は、あなた自身の罪が形となったもの。」

その瞬間、麻奈子の心奥底に秘められた忌まわしい記憶が呼び覚まされる。かつて彼女が犯した過ち――大切な命を奪った一瞬の誤り。それは長い間封印されていたが、呪いはその封印を解く鍵となっていた。鏡に映る自分の顔が徐々に薄れ、闇に呑み込まれていく感覚に、麻奈子は絶望の淵へ追いやられる。

運命の最後の瞬間、彼女は自らの瞳と向き合う。鏡の中で過去の亡霊と目が合ったその時、全てが解き放たれ、呪いは完成する。真実は、外部の犠牲者ではなく、麻奈子自身の心の闇が招いた自己破滅であった。彼女の命は消え、店も男も老女も、すべては彼女の罪と隣り合わせの幻影に過ぎなかった。残されたのは、深い静寂と永遠に語り継がれる恐怖の伝説だけであった。


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