イマジナリーフレンド
いまじなりふれんど

2025/3/26(水)

あらすじ

原田早希は、臨床心理学を専攻する大学生だった。忙しい講義とレポートに追われる日々の中、ふと幼い頃のかすかな記憶が心の奥底からよみがえった。かつて、ひとりっ子として過ごす孤独な日々を慰めるため、彼女はウサギのぬいぐるみ『ユキちゃん』という、あなただけのかけがえのない友と語らっていたのだ。

ある雨の夜、はやきが自室で資料に目を通していると、ふと部屋の隅から、誰ものいないはずの足音と微かな笑い声が聞こえた。驚きと懐かしさが交錯する中、目の前に現れたのは、かすかに光を反射するユキちゃんの姿だった。幼い記憶が具現し、はやきは恐る恐る問いかけると、『ずっと待っていたよ』という、まるで子供の口調の声が返ってきた。

その晩から、はやきの日常は不可解な現象に襲われ始めた。部屋の中に埃をかぶった古い日記や、忘れ去られた写真が次々と姿を現し、家族の会話の端々に漂う重苦しい沈黙。ついに、はやきはひとりで封印していた記憶の断片に直面する。幼い頃、実はユキちゃんは彼女の想像上の存在ではなく、生まれて間もなく命を落とした実の妹であった。家族はその悲劇の痛手を隠すため、あえて彼女の存在を記憶から消し去ろうとしていたのだ。

真実を知った衝撃と悲哀の中、はやきは長い年月、心の奥深くに抑え込んできた愛情と喪失感に向き合う覚悟を決める。最後の夜、涙にくれながら日記に別れを告げた時、ユキちゃんは静かに微笑み、ふわりと光の中に溶けていった。現実と幻想の境界を越えたその瞬間、はやきは孤独だけではなかった。失われた愛と隠されていた秘密が、彼女の心にそっと温かな光を灯したのだった。


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