あらすじ
青木は長年密かに実験に没頭していた。向かいの団地の住民たちに、彼が一喜一憂するかのように、思いつきで調合した薬を投与し、その反応を双眼鏡で観察していた。ある日、理由も告げられぬまま青木の元に届いた一缶の強壮剤。神経痛に苦しむ一人の老人に試しに飲ませると、数日後から老人の体に異変が現れた。薄くなっていた髪は次第に豊かになり、痛みは嘘のように消え、まるで時を巻き戻すかのような若返りが始まった。近隣住民はその奇跡に胸を躍らせたが、夜になると老人は公園で謎めいた儀式のような踊りを披露し、次第に不穏な噂が広がっていった。青木は双眼鏡越しに老人の姿を見守りながら、実験の成功に得意げな笑みを浮かべていた。しかし、運命は皮肉にも彼に襲いかかる。ある朝、青木が自宅の窓越しに自分の姿を眺めると、鏡に映るのはかつての自分ではなく、老人の若返った姿があったのだ。青木は恐怖と驚愕に包まれ、瞬く間に自らが実験の被験者となったことを悟る。すべては、薬の分量を調整しすぎた結果――彼自身が、秘密裏に進めた実験の犠牲となり、狂気へと堕ちていったのであった。

















































