あらすじ
田代由美は、明るく前向きな女子大生として日々を楽しんでいた。夏のある日、親友の道子と共に、温泉地への小旅行に出かけ、何気ないひと時をカメラに収めていた。
夜、宿に戻った二人は、思い出の写真を並べながら笑い合っていた。しかし、一枚の写真に、由美の左肩に誰かの手が映り込んでいるのを発見する。その手には微かな痣があり、さらに後の写真では、由美だけでなく恋人の健太の肩にも同じ痕が刻まれていたのだ。
驚いた道子は、かつて由美に淡い想いを寄せ、ラブレターを送り続けた高校時代の同級生・斎藤が、自殺した後も未練を残して彷徨っているのではないかと呟く。由美の胸に、あの日の記憶がかすかに蘇る。斎藤――彼の情熱は本物であったが、由美はその想いに応えることはなかった。
翌日、疑念と不安に駆られた由美は、旅行先の古びた神社を訪れる。そこで、古文書に記された斎藤の悲哀と未練の伝説に触れるうち、心は次第に乱れていく。夕刻、宿の廊下でふと足を止めたその時、薄明かりの鏡越しに、誰かの切ない眼差しを見る。まるで、かつてのラブレターの文字が囁くかのように――「ずっと君を想っていた」。
混乱の中、健太がそっと由美に声をかけ、肩に触れると、彼女の中に封じ込められていた記憶の断片が一気に溢れ出す。封筒に挟まれていた最後のラブレター。その中には、斎藤からの惜別と、そして――
オチは――実は、由美が旅行に出たあの日、彼女はすでに命を落としていたのだ。写真に映る不思議な手影は、亡き由美自身の幽霊が、かつての想いと未練を伝えるために現れたものだった。健太の瞳に映っていたのは、生き返った由美ではなく、永遠に微笑み続ける、由美の亡霊その姿であった。

















































