あらすじ
立花さおりは学習塾の事務員として毎日を淡々と過ごしていた。ある日、学生たちの間で話題の『心霊アプリ』をこっそりスマートフォンにダウンロードする。最初は、写真を撮ると背後に浮かび上がる幽霊の画像に友人たちが驚き、笑い声があがるだけの単なる遊びに過ぎなかった。
しかし、恋人の伊藤和人はそのアプリに潜む不思議な力を危惧し、さおりに注意を促した。にもかかわらず、さおりは利用規約を一瞥もせず、最新バージョンにアップグレードしてしまう。すると、アプリには全く新しい機能が追加され、写真を撮ると自分自身の姿が幽霊として合成されるようになったのだ。
最初は冗談半分で自分の幽霊が映る様子を楽しんでいたさおりだが、次第にそれは奇妙な存在感を帯び始める。オフィスの窓越しや夜道で、スマートフォンの画面に映る自分の幽霊は、まるで生きているかのようにじっとこちらを見つめ、時には笑みすら滲ませていた。
恐怖が募る中、さおりはアプリを削除しようと試みるが、操作は不可能なほどに固くロックされ、画面には冷たい文字が浮かび上がる。「ご利用ありがとうございました。魂の登録が完了しました。」その瞬間、和人の声が静かに響いた―「さおり、君はもうこの世界にはいない」。
真実は、さおり自身の魂がアプリに囚われ、幽霊として永遠にデジタルの闇に封じ込められていたということだった。あの日の無邪気な笑いが、彼女の運命を決定づける恐ろしい前触れであったのだ。

















































