かお

2025/3/26(水)

あらすじ

中原一彦は、幼いころから『顔』に不思議な執着を抱いていた。通りすがる人々の笑顔が、時の流れとともにわずかに変わる様に、彼は何か深い意味が秘められていると感じていた。そんなある日、二十年ぶりの高校同窓会の招待状が届く。胸躍らせながらも、どこか違和感を覚える日々――朝、鏡に映る自分の顔が、ふとした瞬間に別人のような影を落とし、駅前では昔の仲間と瓜二つと思われるが、どこか異なる表情が見え隠れする現象に、彼の心は不安で満たされる。待望の同窓会の夜、会場に集まった仲間たちは、かつての温かな笑顔の面影はあるものの、どこか仮面をつけたような無機質な印象を漂わせていた。突然、静かな口調の古川が口を開く。「わたしたちの顔は、単なる外見ではなく、記憶と感情の欠片が刻み込まれ、変わる運命にある。そして、その変化を止める唯一の存在が、あなただ。」その瞬間、会場中央の大鏡に映るのは、中原の顔を核に、仲間たちの顔が幻想的に混ざり合う不思議な光景だった。突如、照明が消え、全てが闇に溶け込む中、耳元に低く囁く声が響く。「顔は、変わらぬ証であり、すべての変化の扉でもある」仲間たちは一つまた一つと影のように消え、静寂が会場を支配する。中原は、自分の変わらぬ顔こそが、彼らの異変の根源であり、封じられた『顔の秘密』を解き放つ鍵であったと悟る。恐怖と解放感の狭間で、彼は静かに微笑むとともに、暗闇の中へと一歩踏み出した。彼こそが、顔の真実を映す鏡であり、すべての変化と永遠の結末を紡ぐ唯一の存在なのだという、運命的な結末がそこにあった。


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