あらすじ
社長の武田治は、バブル崩壊後の莫大な借金に苦しみ、日々絶望の中で生きていた。現実の重圧から逃れるため、彼はひそかに夢の世界へと意識を委ね、そこで一瞬の幸福を感じるようになる。だが、その幸福はどこか儚く、武田は真の救いを求め続けていた。
ある晩、古い友人から一通の電話が届く。友人は、夢能力開発センターと呼ばれる場所を紹介し、そこで受ける手術により悪夢を見ることで現実に好転がもたらされると告げた。半信半疑ながらも、最後の望みを託し武田はセンターを訪れる。そこは、薄暗い照明と不思議な機械が並ぶ、現実を超えた不思議な空間だった。
手術が始まり、武田の意識は深い眠りへと沈んでいった。目覚めると、彼はすぐに奇妙な変化を感じた。毎晩、悪夢と呼ばれる不気味な映像に襲われるたび、翌朝現実には突如として借金返済の資金が振り込まれたり、長らく失われていた商機が舞い降りたりと、信じがたい幸運が次々と訪れたのだ。
しかし、次第に夢と現実の境界が曖昧になり、夢の中で現れる謎の影や意味不明の言葉が、武田の心に不穏な影を落とす。悪夢は次第にエスカレートし、そこに浮かび上がる自分そっくりの姿が、微笑みながら何かを告げるのを夢に見るようになった。彼はセンターの裏に隠された真実を追求し始める。
調査の結果、武田はセンターが単なる医療施設ではなく、心理と経済の双方を操作する実験的プロジェクトの一環であることを知る。彼の悪夢は、センターが収集したデータを基に作り出されたプログラムの産物であり、現実での幸運も、巧妙に操られた人工の成果に過ぎなかった。すべては、彼という被験者の潜在能力を試すための実験だった。
遂に、武田はセンターの中枢部で、自分と瓜二つの男と対峙する。男は冷笑を浮かべながらこう告げる。「あなたは夢を通じ、現実を動かす実験体。あなたの幸運も、この我々の仕組みの一部です。」絶望と怒りに震える武田。しかし、その瞬間、意識は再び暗闇へと引き込まれる。
目を覚ました武田の前に残されたのは、手術後の痕と、どこか聞こえる囁きのような声だった。「夢のつづきは、あなた自身の選択で作られる」。現実と夢、自由と支配の境界は完全に曖昧となり、彼は永遠にその狭間で彷徨う運命に取り込まれていった。

















































