DOOR
どあ

2025/3/26(水)

あらすじ

川島祐二は、恋人矢沢みちるとの未来に胸をはずませていた。しかし、みちるの父であり、恐るべき組長にその想いが知られると、運命の悪戯が始まった。組長は冷徹な声で告げる。「みちると別れよ。代わりに、あかとあおのふたつのドアのうち、生きて出られるほうを選べ」。

暗い部屋に突如現れた二つのドア。燃えるような情熱を感じさせる赤いドアと、ひんやりとした不気味な佇まいの青いドア。どちらが救いなのか、どちらが絶望なのか。心は激しく揺れ動く中、川島は己の中にある愛の強さと、別離への恐れとがせめぎあっているのを感じた。

ついに彼は、心の叫びに従い、赤いドアに手を伸ばす。扉を開けると、そこには予想だにしなかった光景が広がっていた。薄明かりの中、巨大な鏡が並び、自分自身の姿と、かつての幸福な記憶、そして消えゆく未来への不安が重なって映し出される。鏡の中から、自らの声がささやくように告げた。「真の選択とは、ドアの色ではなく、愛を捨てるか守るか、かれ自身の決意で決まるのだ」。

その瞬間、背後から組長の冷笑が響いた。実はこの試練は、組長とみちるが仕組んだ策略であり、川島の心の強さを試すための幻想であった。だが、物語はここで思いもよらぬオチを迎える。赤いドアが忽然と消え去ると、目の前にひっそりと佇む青いドアが唯一の入口となった。彼はそれを開けると、逃げ場のない無限の回廊が続いており、二度と元の世界へ帰る道はなかった。愛を守ろうとする決意の代償は、永遠の孤独と果てしない自己との闘いであった。


: 50


寓話

物語

関連

© 2025 新解釈物語 | All Rights Reserved.