あらすじ
仁科茂は、夜闇に紛れてサラ金から1億円を奪い、必死に逃走を始めた。逃げ込んだ山道は、やがて伝説の山『デンデラ野』へと彼を導く。濃い霧と耳をすます森の中で、突如、数十人もの老人たちが彼の前に現れた。ひとりの長老が静かに告げる。「このデンデラ野は、うば捨て山だ」。仁科は、己の罪深い過去を語ろうとするが、老人たちは一切非難することなく、むしろ温かく迎え、夜通し饗宴と語らいを催した。彼らは、自らの失われた記憶や、かつて償った過ちの話を、まるで昔話のように語り、仁科の心に不思議な安堵をもたらした。夜が深まる中、現実と幻想が交錯する時間を堪能した仁科は、翌朝、山を下り町へ戻る決心をする。しかし、町では彼の強盗事件の痕跡は一切なく、久しぶりに会った友人でさえ「そんな事件の噂は聞いたことがない」と口にした。混乱と戸惑いの中、仁科は自分の手に触れると、一枚の古びた紙幣の感触があった。果たしてあの夜の出来事は、彼の記憶が紡いだ幻影なのか? 本当の罪も、奪ったはずの1億円も、すべては彼の心に刻まれた贖罪の幻想に過ぎなかったのだ。

















































