あらすじ
ある晩、濃い霧に包まれた人気のない路地を、一人の女性が足早に歩いていた。ふと、街灯の下に現れたのは、普段は目立たない傘を差した男。その男こそ、都市伝説協会の怪人課に勤め、巨大なイカの頭部を持つ橋本俊樹、通称「イカ男」だった。口裂け女ブームの大成功以来、協会は次なる伝説を熱望しており、橋本もまた己の存在意義を問い続けていた。
そんな中、ネット上の掲示板に突如『ワタ毛男』という不可解な都市伝説が飛び交い始めた。噂によると、ふわふわとした綿のような毛が、夜風に揺れる不思議な男が現れるという。橋本は早速調査に乗り出し、古びた公園や閑散とした駅前を訪ね歩いたが、誰も実体を見た者はいなかった。ただ、夜の静寂の中で、ふと自分の頭上に漂うかすかな綿毛に気づくことがあった。
調査を進める中で、橋本は次第に自らの身体に異変を感じ始める。これまで気にも留めなかった自分の髪が、いつの間にか白く柔らかな綿毛のように立ち上がっている。驚きと不安に駆られた彼は、古い記録や秘密資料を漁り、遂に事実の断片にたどり着く。実は、都市伝説協会が密かに進めていた『新都市伝説創出プロジェクト』の実験薬が、彼に副作用として現れていたのだ。その薬は、既存の伝説―口裂け女の大成功―に続く新たな話題を作り出すため、彼の体質をわざと変える目的で開発されていた。
真実に直面した橋本は、衝撃と苦悶の狭間で己の存在を問い直す。しかし、もう後には引けなかった。運命を受け入れ、新たな都市伝説の担い手として、彼は再び夜の街へと足を踏み出す。傘を片手に、ふわりと舞う綿毛が風に乗って輝くその姿は、やがて路上の伝説として語り継がれることになる。こうして、イカ男でありながら誤って“ワタ毛男”となった橋本俊樹の奇妙な運命は、衝撃のオチを迎えたのだった。

















































