クリスマスの怪物
くりすますのかいぶつ

2025/3/26(水)

あらすじ

奈央は煌びやかなホテルでの特別なディナーに胸を躍らせていた。恋人でありIT企業社長の良輔からのプロポーズを期待し、幸せな未来を夢見ながら、一方で7年前の悲劇―その日、彼女の前に突如現れた不気味な怪物の姿――が胸に重くのしかかっていた。怪物は、ボロボロのコートに隠れ、背中が歪み、乱れた髪の影に表情が隠され、毎年クリスマスイブに奈央を襲ってきた。

ディナーが終わり、ホテルのロビーに戻った奈央は、薄暗い通路の先から震える視線を感じる。その瞬間、遠くに怪物のシルエットがゆっくりと現れた。恐怖と戸惑いの中、奈央の傍らに良輔が駆け寄り、彼女の手を取りながら静かに口を開いた。「奈央、ずっと隠していた真実があるんだ」彼の瞳は涙に濡れていた。

良輔は、7年前のあの夜、自身の密かな過ちについて告白した。幼い頃の大切な友を救おうと必死になった結果、予期せぬ判断ミスからその命を救えなかった。一瞬の判断の遅れが、彼の心に深い罪悪感と絶望を刻み、その感情が形を変えて怪物として現れるようになったのだ。奈央は信じがたい現実に言葉を失い、胸の奥で悲しみと怒りが渦巻くのを感じた。

しかし、良輔は続けた。「この怪物は、僕が乗り越えなくてはならない過去の重荷。君と共に未来を築くために、正直に向き合いたかったんだ」その瞬間、怪物は次第に薄れ、闇夜に溶け込むように消えていった。奈央は涙をこらえながらも、良輔の告白と、二人が抱える過去に向き合う決意を受け入れた。こうして、隠された罪と過去の記憶が怪物という形で現れた奇妙なクリスマスイブの夜は、二人が真実を共有し、互いの傷を癒しながら新たな道を歩み出す、予期せぬ結末を迎えたのであった。


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