あらすじ
テレビ局で特別報道番組の一員となった私は、上司からの突然の電話により、衝撃的な任務を課せられた。報せによると、アフリカのとある小国、パギジア共和国が我が国に宣戦布告し、二隻の小舟が海を渡って侵攻してくるというのだ。最初は信じがたい事態に戸惑いつつも、私は真実を求め、調査チームと共に現地へ向かった。
現地に到着すると、そこは戦争の混乱ではなく、どこか祭りのような雰囲気に包まれていた。国民たちは平然としており、役人たちは笑顔で応対する。インタビューや資料集めを進める中で、次第に奇妙な事実が浮かび上がってきた。パギジア共和国は、かつて架空のドラマのモデルとして語られていた伝説の国であり、その宣戦布告も、政治風刺と芸術表現が融合した一種の演出に過ぎなかったのだ。
実のところ、我が国の上層部は、国民の一体感を呼び起こすために、あえてこの仮想戦争を演出する大掛かりな実験を密かに仕掛けていた。侵攻とされた二隻の小舟も、最新技術で操られる無人ドローンに過ぎなかった。放送初日、驚愕と興奮を呼ぶ展開に視聴者が沸いたと同時に、私たちの心にも不穏な影が差した。
放送のラストシーン、ふとカメラ越しに現れた一人の男の笑み。その男こそ、上司として電話をかけた人物であり、全ての演出を巧妙に操った黒幕であった。私自身も、その巨大な仕掛けの一部に踊らされたことを、ようやく知るに至った。――ああ祖国よ。あなたは、我々が意図的に紡いだ幻想にすぎなかったのだ。

















































