あと15秒で死ぬ
あとじゅうごびょうでしょうぬ

2025/3/26(水)

あらすじ

深夜、診療所の薬剤室は静寂に包まれていた。薬剤師の三上恵は、いつものルーチンに没頭している最中、突如、体が石のように硬直し、視界に浮かぶのは赤い飛沫と静止した銃弾。胸元に一直線に広がる血しぶき。彼は、自分が背中を銃で撃たれたことを悟る。

その時、闇から一人の死神が姿を現し、冷ややかな声で「この度はご愁傷さまでした」と告げる。しかし、恵は定められた死を迎えるはずの中、死神が示したのは、残りわずか15秒の命であった。その15秒の間、彼は時間を自由に操る奇妙な力を手に入れていた。

恵は動きを止め、凍り付いた時の中で、銃を構えた人物の影を探し始める。記憶の断片が浮かび上がる――かつて信頼していた同僚の顔。その表情には、友情だけでなく、どこか狂気めいた影があった。瞬く間に、彼は過去の出来事と幾重にも重なった因縁に気づかされる。

残された秒針が刻む中、恵は自分の行動と選択を逆転させるため、時間の中断と再生を巧みに操る。次第に明らかになるのは、銃を撃った犯人が、他人ではなく自分自身の未来であったという衝撃の真実。未来の恵は、過去の自分が犯した過ちと向き合えなかった苦悩から、償いという名の罠を仕掛けたのだ。

最後の一瞬、死神の囁きとともに、二つの自分は交錯する。皮肉にも、真の敵は常に己の内に潜んでいた。15秒の奇妙なタイムループが幕を下ろすとき、恵はほろ苦い笑みを浮かべながら、運命の皮肉と共に闇へと消え去った。


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