あらすじ
悪魔の画商
ある小さな町に、死者の絵だけを描く奇妙な画商が住んでいました。彼の名前はアレクサンダー。彼は自らの作品を「死の美」と呼び、町の人々に恐れられながらも敬愛されていました。アレクサンダーの作品には、生前の姿だけでなく、死後の安らかな表情も描かれており、見る者を不気味にさせる一方で、その美しさに引き込まれる人も多かったのです。
ある日、町の若者たちが集まり、アレクサンダーの絵について語り合っていました。「彼が描く死者たちの表情は本当によくみえるよな。生きている時の思いがそのまま浮かび上がっているようだ。」一人の若者が口にすると、他の皆も頷きました。その時、ある女性が言いました。「そう言えば、アレクサンダー自身も何か思いを抱いているのかしら?彼の絵を見ていると、まるで彼も何かを隠しているような気がするわ。」
若者たちは笑いながら話を続けていましたが、実はアレクサンダーの心の中には恐ろしい秘密がありました。彼は自らが描く絵の中に、今まさに街に住む人々の「最期の瞬間」を描くための取引をしようと企んでいたのです。つまり、彼は未来の犠牲者たちを選び、その命を収めるために日々彼らを観察し続けていたのです。それが彼の「死の美」の源であり、町の人々には知られないままでいました。
しかし、ある晩、彼が描いた一枚の絵がまるで彼自身の心情を表しているかのように、少しずつ変わっていきます。その絵は、次第に彼自身の表情にそっくりになり、ついには自らの命を奪う瞬間の姿が描かれてしまいました。町の人々はその絵に吸い寄せられるようにして集まり、「思い内にあれば色外に現る」の言葉通り、アレクサンダーが潜む恐れを感じ取ったのです。やがて、彼は恐怖に駆られ、自らの運命を絵の中に描いたまま、静かに消えてしまいました。















