あらすじ
尾に鰭付ける
ある小さな町に、話のうまい男、橋本が住んでいた。彼は人々の前で自分の冒険話を語るのが大好きで、いつも周囲を引きつけていた。ある日、彼は「今度、空を飛ぶペンギンを見た」と話し始めた。町の人々は興味津々で耳を傾けたが、実際には彼が見たのは飼い主のよだれを垂らしているペンギンだけだった。
橋本はその話を「尾に鰭付ける」ように仕立て上げ、ペンギンが町を空高く飛び回る姿を描写した。「ペンギンは触れると星の粉を振りまき、願い事を叶えてくれる」と言うと、人々の間には驚きと夢が広がっていった。しかし、彼の話があまりにも誇張されすぎたため、町は熱狂と共に不穏な雰囲気に包まれていった。
数日後、橋本の影響を受けた子どもたちは、庭にペンギンを呼び寄せようと試みる。「空を飛ぶペンギン」が本当に存在すると思っていたのだ。すると、町の飼い猫が意外にもその役割を担うことになり、子どもたちが「魔法のペンギン」と名付けて追いかけた。猫は逃げ出し、町中に混乱を引き起こした。大人たちは仕事を放り出し、ペンギンを探し回る羽目に。
月日が経つにつれ、橋本の話は町の伝説となった。しかし、誰もが知っているのは、あの日のペンギンを見ることができたのは彼だけであり、町の人々はまさに彼の「尾に鰭を付ける」才能によって、リアルとフィクションの境界が曖昧になってしまったのだ。「尾に鰭付ける」ことの代償は、真実を求める者たちの間にも疑念を生むことを忘れないために、彼自身が語ったペンギンに向かって、誰もが現実を「飛び越え」てしまったのであった。















