あらすじ
遠ざかる想い、近寄る影
ある町に住む青年、太一は密かに同級生の美少女、桜子に想いを寄せていた。彼の日々は、彼女の笑顔を思い浮かべながら過ぎてゆく。しかし、桜子は太一に全く関心を持たず、彼の耳に入るのは「良い友達」としての扱いばかりだった。そんな太一の気持ちは、次第に重くなっていく。
一方、その町には妙な人物が住んでいた。名を源八という名の男で、町中の人々に嫌われ、その顔を見た者は心に不快感を覚えるという不気味な存在だった。ところが、太一はある日、源八に道端でばったり出くわしてしまう。太一は何か悪い予感を感じながらも、恐れずに無視し、その場を立ち去ろうとした。
しかし、源八は意外にも粘り強く、太一の後をしつこくついて回る。「君のことが好きだ」と言わんばかりに、彼はいつも突然現れ、太一を不安にさせた。周囲の人々は「彼を嫌うのは当然」と言っていたが、太一にとっては源八がまるで影のように存在し続け、逆に桜子の姿は遠くで消えていくかのようだった。
ある晩、太一は意を決して桜子に告白することを決めた。しかし、その時にはすでに源八が後ろでじっと待ち構えていた。告白の場に現れた源八は、桜子にも声をかけた。「君も私と一緒にいないか?」。その瞬間、太一は絶望に包まれた。彼の想いは遠ざかり、思わぬ男が目の前に立ちふさがる。この世の理不尽さに翻弄された彼は、心の中で嘲笑するしかなかった。「恋は思い通りに行かない」とはまさにこのことだと、太一は痛感したのであった。















