あらすじ
蠅と自分
田舎町に住むマサオという男は、近所の人々の噂好きで、自分のことはさておき、他人のことに首を突っ込むことが好きだった。ある日、彼は隣人のタケシが新しい車を買ったと聞きつけ、さっそく彼のところへ駆けつけた。車を見ていれば「いくらしたんだ?そんな車、君にはもったいないよ!」と、ひとしきりタケシをいじり始めた。
しかし、マサオは自分の頭上にとまる蠅には全く気づいていなかった。彼の家はすっかり荒れ果てており、食事の残りがそこら中に散らかっていた。さらには、自分自身も無精髭が生えっぱなしで、服はぼろぼろ。その姿を見て「タケシ、君ももうちょっと身だしなみに気を使ったほうがいいよ!」と勝手にアドバイスを送る始末だった。
タケシはマサオに笑顔で返しながら、「マサオさん、君の家のこと、少し心配なんだけど…」と何とか返すも、すぐにその言葉は彼の耳を通り過ぎてしまった。マサオは再び別の隣人の話題に興じ、どれだけ他人の生活に首を突っ込むかを自慢する。一方で、彼にとってはタケシの新しい車の色がどうのこうのということが、まるで天下の大問題のように思えていた。
結局、マサオは自分の頭の上にいる蠅を追い払うこともせず、近所の人々にアドバイスを送り続けることになった。友人たちの嘲笑とともに、いつしか彼の智慧の伝道師としての名声も広まり、町のユーモアネタとなった。マサオは誰からも「自分のことをしっかりやれ」と言われていることに気づくことなく、毎日蠅を追いかけるおせっかいなおじさんとして生き続けるのであった。









