あらすじ
不思議な村の風邪
あるところに、風邪という病気が流行っている不思議な村があった。この村では、誰もが「風は万病の元」と呪文のように唱え、風邪を引くことを恐れていた。だが、村人たちの恐れはただの風邪ではなく、風邪を引くと手に負えない状況になるという噂から来ていた。
ある日、若い青年のタケルが風邪を引いてしまった。彼はその日、一日中寝込んでいたが、心のどこかで楽しみを見つけていた。村の人々は、タケルを心配して何か助けようと必死だったが、彼は「風邪で苦しんでいるところを見てくれ!」と叫び、逆に村人たちを逆撫でしてしまった。タケルの痛々しい姿が、村人たちの会話のネタになってしまったのだ。
村人たちはタケルを見舞うために、風邪を引いたかのように大げさに咳をしながらやってきた。そして、次々とタケルの症状を真似し、どんどんヒステリックに振る舞う村人たち。これがコミュニケーションだと勘違いした村人たちの笑い声が、風邪を引いたタケルの耳に届く。こうして、彼の孤独な入院生活は、村全体の宴会となってしまった。
結局、村の住人たちは「風は万病の元」の言葉がすっかり寛容になり、風邪を気軽に引くことができると信じてしまったのだった。彼らは風邪を引いても特に問題はなく、タケルの病気の影響でむしろ奇妙なコミュニティが築かれてしまった。しかし、そうこうしているうちに、誰もが風邪を引くことが恐ろしい病気に変わってしまったことすら忘れ、村を笑いに包み込むことが幸福だと思い込んでいたのだった。












