あらすじ
河童の寒稽古
昔々、河に住む河童のカッピーがいました。カッピーは毎年寒中水泳の稽古をするのが日課でした。寒い冬の日でも、仲間たちは「そんなの苦痛だ!」と声を揃える中、カッピーだけは涼しい顔をして水に飛び込みます。しかし、その理由はただ一つ。彼は水の中でしか生きられないことを知っていたのです。
ある日、カッピーは他の河童たちに、「今年の稽古の後には、何か特別なご褒美を用意するよ!」と告げました。この言葉に興味を持った仲間たちは、「どんなご褒美だ?」と興味津々。カッピーは得意げに、「私たちのお気に入りの漬物を、冬の間に食べ放題にする!」と言いました。仲間たちは喜んで、寒中水泳の稽古を始めることにしました。
しかし、時が経つにつれ、カッピーの言葉には裏があることが徐々に明らかになりました。何度も泳いでいるうちに、他の河童たちの体力はどんどん減っていき、ついには水の中から浮かび上がれなくなったのです。それに気付いたカッピーは、心の中で「ご褒美は水の中でこそ味わえるものだし、身を置いているのは君たちなんだから、自業自得だよね」というブラックユーモアを思い浮かべました。
最後には、カッピー一人だけが水の中で元気に過ごし、仲間たちはすっかり息絶えてしまいました。太陽が沈み、寒い水面にはただ一つの影が残るのみ。カッピーは漬物を食べ放題にする計画など最初から思いつきもしなかったけれど、彼の中では「河童の寒稽古」はただの運命のいたずらという笑い話となったのです。そして、誰も教えてくれなかった真実、もらえるものは必ずしも甘くないという教訓を、その川の奥深くに沈めたのでした。












