餓鬼の断食
がきのだんじき

意味

2024/10/5(土)

餓鬼とは仏教でいう餓鬼道に落ちた亡者のこと。常に空腹と渇きにさいなまれている。この餓鬼が「俺は断食をしている」と偉そうに言うという意味。当然のことをするのに、特別なことをするかのように言い立てて、うわべを繕うことのたとえ。

あらすじ

餓鬼の断食

ある村に、長い間餓鬼道に迷い込んでしまった幽霊のような男、名を「モリ」と言う者がいた。モリは自分が生きていた頃、食べ物を粗末に扱い続けたため、死後も空腹から逃れられずにいた。しかし、最近のモリは特別なことをしたかのように「俺は断食をしている」と、村の子供たちに自慢していた。それは、食べ物が手に入らない世界で、ただの空腹を誇示するかのようだった。

ある夜、村に住む少女アヤは、モリの声に耳を傾けることにした。彼女は心優しい性格であり、困っている人を助けることに喜びを感じていた。モリの虚勢に疑問を持ったアヤは、自らの努力で彼を救おうと決意し、夜の森に足を踏み入れた。彼女は老木の下で、月明かりの下に新鮮な果物を見つけ、モリのために持って行くことにした。

夜明けの頃、アヤが展示した果物を見て、モリは困惑した表情を浮かべた。彼は、自分の空腹を誇るために「断食」をしていると言っていたが、その実、心の中では本当に飢えていたのだ。アヤは優しい眼差しで問いかけた。「なぜ、本当に食べたいものを食べないの?あなたの心の中の空腹を満たしなさい。」言葉の中に特別な力が宿り、モリの心に響いた。

その瞬間、モリは自らの虚勢を捨て、アヤの与えてくれた果物を一口かじった。その瞬間、彼の心からは長い間抱えていた空腹感が消え去り、光が差し込んだ。餓鬼道から解放されたモリは、初めて「食べること」の真の意味に気づく。彼はアヤに深く感謝し、やがて村の人々も彼に対して温かい心を持つようになった。モリは、もう二度と「断食」を自慢することはなかった。彼は新たな人生を歩み始め、飢えを感じるたびに、大切なことを思い出したのだった。


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