あらすじ
寒に帷子、土用に布子
ある村に、四季折々の衣服を巧みに織る名人、起伏(うねび)さんが住んでいました。彼の織る布はどんな季節にもピッタリのもので、人々からは感謝されていました。しかし、最近彼は新しいデザインに夢中になりすぎて、季節を無視して衣服を作るようになってしまいました。
寒い冬の日、起伏さんは特別な帷子(かたびら)を織り上げました。彼は村人たちに「これを着れば、寒さも忘れるほどの暖かさだ!」と自信満々で宣伝しました。しかし、村人たちはその薄い布を見て驚愕しました。「例えば、これを着て外に出たら、凍えてしまうよ!」とことごとく反対の声が上がりました。起伏さんは全く意に介さず、「いや、これは未来のファッションだ。寒い時期にもオシャレが必要だ!」と叫び声を上げるばかりでした。
次の土用の時節には、起伏さんは暑さをしのぐための布子(ぬのこ)を作ろうとしました。しかし、今度は布子が厚すぎて、誰も着ることができませんでした。「これを着たら、逆に暑くなってしまう!」と村人たちはまたもや嘲笑いました。それでも起伏さんは「また新たなトレンドが生まれるに違いない。流行を追うことが大事なんだ」と言い続けます。
最終的には、村人たちは仕方なく起伏さんの作品を見放してしまいました。彼は誰よりも先進的であろうとした結果、自らの感覚を失い、季節感を忘れ去ってしまったのです。そして、そのことわざの通り、「寒に帷子、土用に布子」とはまさに、役に立たないことの象徴として語り継がれることとなりました。












