あらすじ
文は遣りたし書く手は持たず
ある日、小さな町に住む青年、タケシは、友人の紹介で美しい少女、サキに心を奪われました。彼は彼女に恋文を書こうと決意しましたが、筆を持つ手が震えてしまい、うまく言葉が浮かびません。思いつくのは「好きです」と「会いたい」といった、単純な言葉ばかり。彼は「文は遣りたし書く手は持たず」のことわざを思い出し、まさに自分のことだと愚痴りました。
タケシは、何とか文を完成させるため、町の老舗の文房具屋に向かいました。店内には、色とりどりのペンや便箋が並んでおり、どれを使うべきか迷います。そこで出会った老婦人が「気持ちを込めて書けば、どんな言葉でも素敵になるよ」と励ましてくれました。その言葉に勇気づけられ、タケシは赤いインクの万年筆と、上質な便箋を選びました。
家に帰ったタケシは、そっとペンを持ち、サキへの思いを綴ります。初めはぎこちなくつづった文字も、彼女の笑顔を思い出すうちに、どんどん言葉が溢れてきました。不器用な彼ではありましたが、彼女への愛情が溢れ出し、いつの間にか一通の素敵な恋文が完成しました。彼はそれを見て、自分の成長を感じ、思わず笑顔がこぼれました。
次の日、彼はドキドキしながらサキに手紙を渡しました。サキは微笑みながらそれを受け取り、手紙を読み始めました。その表情には、彼の思いが届いていることが感じられました。タケシは、思わず「手が震えて上手く書けなかったけど、君のことを想って書いたんだ」と告げました。それを聞いたサキは、ニコニコとした顔で「私はこの手紙、すごく嬉しいよ。次は一緒に書こう」と言いました。タケシは完全に心を奪われ、恋文の力を再認識することとなったのです。



