あらすじ
暮れぬ先の提灯
ある小さな村に、常に先回りして物事を進める男がいました。彼の名前は山田。村人たちは、山田の几帳面さや手回しの良さから、彼を頼りにしていました。しかし、山田も時には間が抜けていることがありました。その日、彼は村の祭りの準備をしていました。
祭りの前日、山田は提灯を掛ける作業をしようと決心しました。しかし、彼は「明日になったら、もう遅いかもしれない」と焦り続け、早朝から作業を始めました。村の人々が寝ている時間を利用して、彼は提灯を公道にまでぶら下げ、村の入口を派手に飾り付けました。その姿は、村人たちに笑いを誘うものでした。
しかし、朝日が昇ると、村人たちは驚愕のあまり言葉を失いました。すでに提灯がつるされている場所は、祭りの会場ではなく、酒屋の前。数年前からやんわり打ち切られていた酒の販売が、再開されることになり、酒屋は盛況を取り戻していました。祭りの飾りつけが、酒屋の気分を盛り上げてしまうという思わぬ結果になりました。
そして、村人たちはこう思いました。「暮れぬ先の提灯、まさにこのことだ」と。実際には、山田はいい意思を持って行動していたのに、彼の手回しの良さが逆に場の雰囲気を台無しにしてしまったのです。村人たちは失笑をしながら、次回の祭りにはもっと慎重にことを進めようと誓ったのでした。





