あらすじ
登竜門
昔々、ある小さな町におじいさんが住んでいました。彼は、若いころから立身出世を夢見て、様々な試練を乗り越えてきました。しかし、町での地位はずっと変わらず、単なる村の変人と呼ばれていました。ある日、彼は「登竜門」と呼ばれる神秘的な橋の噂を耳にしました。この橋を渡れば、必ずや夢の人生が待っているというのです。
おじいさんは意を決し、翌朝にその橋を探しに出かけました。橋は村の外れの木々に囲まれた聖なる場所にありました。しかし、そこに到達したおじいさんが目にしたのは、橋の下で焚き火を囲む若者たちの姿。彼らはろうそくの明かりの下で、異様に笑いながら「登竜門」を通過した人々の失敗談を語り合っていました。身を乗り出して聞くおじいさんの耳には、その内容が耳障りに響きました。
若者たちは言いました。「橋を渡った者は、まるで悪夢のように次々と不幸に見舞われている。中には、テストに落ちた挙句、家族まで失った者もいる。そして、富を得た者は、逆に金銭に溺れ、最終的には多くの借金に潰されてしまった」。おじいさんはその話を聞きながら、果たして自分は橋を渡るべきか迷い始めました。しかし、彼の中には立身出世の夢が渦巻いており、恐れを抱きつつも結局橋を渡る決心をしました。
橋を渡った瞬間、彼の頭上には飛び込み台のような巨大な竜が現れました。それは笑いながら彼に言いました。「さあ、おじいさん、あなたは登竜門を通過しました。さあ、どんな出世を希望しますか?」おじいさんは夢を持ちながらも、結局は「少しの幸せ」としか答えられませんでした。すると、竜は皮肉な笑みを浮かべ、「幸せとは、一瞬の痛みを伴うことをお忘れなく」とささやきました。それからおじいさんの人生は、まるで滑り出すように失敗へと向かっていきましたが、彼はこの奇妙な体験を通じて少しだけ笑う余裕を持つことができました。逆境こそ、人生のスパイスなのだと気づいたからです。



