あらすじ
草生えぬ街
ある町には、常に人々が行き交う賑やかな通りがあった。商店が並び、常にバタバタと忙しそうな人々の姿が見えた。しかし、その通りにだけは異様な光景が広がっていた。地面には一切の草が生えておらず、つるつるとした土がまるで鏡のように輝いていた。そして、そこにひとつの小さなカフェが存在した。
そのカフェは、どこか寂れた感じがしていた。店主のマサオは、毎日カウンターに座っては、来客を心待ちにしていた。その日、彼は一人の客が入ってくるのを願いながら、店の隅で「人通りに草生えず」という古いことわざを思い浮かべていた。彼はその意味を痛感していた。いくら頑張っても、賑やかな通りで商売をしても、ここには戻ってこない客たちが多かったからだ。
ある日、マサオはついに意を決した。彼は店を閉じて「人通りに草生えず」と名付けた殺風景な公園を作ることにした。彼のアイデアは悪ふざけのつもりだったが、公園が完成すると、町の人々は興味を持って次々に訪れた。見本市のように、さまざまなイベントが開催され、ついに人々が草の生えぬその場所に集まったのである。
しかし、皮肉なことに、マサオのカフェにはふたたび誰も訪れなくなった。彼は草が生えない公園の中心で、一人ぼっちになりながら「これが本当の草生えぬ道だ」と思った。やがて、周囲の喧騒を背に、彼はひっそりとその草の中で、終わりなき孤独を味わうことになった。人々は彼の言葉を忘れ、マサオはいつしか町の伝説として語られることになった。













