あらすじ
左鮃右鰈
昔々、漁村に住む漁師のタケルは、魚を捕ることが大好きだった。しかし、タケルはある日、不幸な事件に巻き込まれる。彼がお気に入りの釣り場で大きな鮃を釣り上げた瞬間、その魚が怨念のように目を光らせたのだ。「なんで私を釣ったんだ!」と鮃が語る。タケルは驚き、釣り糸を手放した。
鮃はその後、自らの運命を嘆いた。目が左側にあることで、いつも他の魚たちに見下され、右目を持つ鰈たちに嫌われていた。タケルは、鮃の悲しみを理解し、「その左目のせいで、君も運命が決まってしまったのか」と同情しつつも、何か不気味なことが起こりそうな予感がした。
それからというもの、タケルの村では奇妙なことが起き始めた。毎晩、夜空に浮かぶ月が鮃の形になり、村人たちは恐れおののいた。幽霊の鮃が村を取り巻き、釣り糸を持つ者には呪いをかけると言われていた。そして次第に、村の人たちは「右鰈」に目を向け、タケルを疎ましく思うようになる。彼はまるで罪を被せられたかのように、孤立してしまった。
最後には、タケルと村人たちの運命もまた鮃の怨念に翻弄されてしまう。そして、村に流れる川が氾濫し、全ての魚が右左に関係なく取り込まれてしまった。タケルは思った。「結局、左でも右でも、ちょっとした違いが人生を決めることもある。だからこそ、まるで鮃と鰈のように、どちらも初めから運命を決められていたのかもしれない。」この世の運命の不条理を理解したと同時に、村には新たな伝説が生まれることになった。それは「左鮃右鰈」の呪いが続く限り、釣り人は両方の目を持つ魚に一切手を出してはいけないというものだった。













