鴨く蝉よりも鳴かぬ蛍が身をこがす
なくせみよりもなかぬほたるがみをこがす

意味

2024/10/5(土)

喧しく鳴く蝉よりも、鳴かずにただひたすら煌々と光る蛍の方が、情熱的で激しく思われる。ちょうど、それと同じように、恋慕う気持ちや切なさを口に出す者よりも、それを言わずにじっと胸に秘めている者の方が、心は激しく燃えており、恋焦がれる思いも切実たるものがあるの意。

あらすじ

ある小さな村に、しがない若者の名はタケルという。彼は恋する相手、可憐な花屋の娘リナをひそかに思い続けていたが、口下手でシャイな性格のため、気持ちを伝えることができなかった。それに対抗するかのように、村には蝉の声のようにうるさく、恋愛話が大好きな友人のヨシオがいた。彼はいつも大声で恋愛のことを語り、皆を笑わせていた。

タケルは、ヨシオの明るさに心を惹かれつつも、リナに対しての自分の気持ちを隠すことに決めた。彼は告白する勇気がない代わりに、毎晩リナの花屋の前を通り過ぎながら、彼女の笑顔を見つめることのみを心の支えにしていた。しかし、毎回その瞬間になると、喉が詰まるように言葉が出ず、ただ一人で心を焦がしていた。

ある日、村で大きなお祭りが開かれることになり、リナは花飾りのブースを設けることになった。タケルはこのチャンスを逃すまいと、密かに準備を進めた。彼はなんとかリナに話しかける決意を固め、そっと彼女のもとへ向かった。しかし、会場は賑やかで、人々の声が響き渡る中、タケルは緊張で手が震えてしまう。

そこで運命のいたずらが起きた。ヨシオがタケルの背中を押すと、彼は勢いをつけて前に出た。周りが静まる中、タケルはついに口を開き、リナに自分の思いを告げることができた。「実は、ずっとあなたを思っていました」と一言。リナは驚きながらも、優しい笑顔を浮かべ、「私も、あなたのことが好きだった」と答えた。二人はその瞬間、周囲の賑やかさを忘れ、まるで淡い蛍の光が二人だけを照らすような魔法の時間を過ごしたのだった。


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