あらすじ
鍬を担ぐ乞食
ある村には、いつも仕事を求める乞食と呼ばれる男、正一が住んでいた。彼は毎朝、同じ場所で人々に金や食べ物を求めていた。しかし、正一は働くことが大嫌いで、いつも手元にある鍬を使うことはなかった。「鍬を担げる乞食は来ない」ということわざを知りつつも、彼は自分の無精を正当化することを楽しんでいた。
ある日、村に新しい農夫がやってきた。名は勇二。彼は働き者で、鍬を持って田を耕し始めた。正一はその姿を見て、生まれて初めて嫉妬の感情が湧いた。「あいつは働き者だが、働かない者の方が耕す面積は知らずに広がるのだ」と正一は弁解し、自分の乞食生活に戻った。
今までとは違う状況が訪れた。近くの村で飢饉が起こり、食料が不足していた。人々は勇二の持っていた食物に群がり、彼に求め始めた。だが、勇二は冷たく言い放った。「お前たち、鍬を担げばいいではないか。乞うたって何も得られないのだ。」正一はその言葉を聞き、自分がどれだけ無駄な時間を過ごしていたのかを思い知った。
しかし、正一はその後も乞食生活を続けた。村の人々は彼を見放し、それでも努力しない彼を可笑しむようになった。そして、彼はいつしか「鍬を担いだ大乞食」と揶揄されながら、今度は鍬を担ぐことが乞食には似合わないという意地を通していた。その姿は村人たちにとって、働くことの愚かさを笑い飛ばす絶好の材料となったのだった。





