あらすじ
なんでも来いに名人なし
ある静かな町に、シロという名の少年が住んでいた。シロは何でも器用にこなす不思議な才能を持っていた。お菓子作りから木工、さらにはアクロバットまで、彼はすべてをこなすことができた。町の人々は彼を称賛し、なんでもできる少年として「マルチシロ」と呼ぶことにした。しかし、なぜか誰もシロの特別な才能を真剣に評価しようとはしなかった。
ある日、町で開催される「才能バトル」が発表された。出場者たちは、名人としての技を披露し、最優秀名人の称号を手に入れるチャンスがあるという。シロは自分にもそのチャンスがあると思い、意気揚々と参加することに決めた。彼はさまざまな技を披露し、観客を魅了したが、最後の一人に負けてしまった。その名人は、瓶の蓋を一発で開ける特技を持つ男だった。
失敗したことにショックを受けたシロは、しばらく町を離れることにした。しかし、彼の「なんでもできる」才能は町を離れても消えなかった。ふとしたことで怪しい仕事に手を染めることになったシロは、冷蔵庫の中の食材を無駄にする悪党たちと手を組むことになった。その悪党たちは、食材が腐ることを楽しむようにシロを利用した。まさかの逆境に、シロは自らの才能を使って食材を奇抜に料理し悪党たちをも魅了した。
やがて、シロは町に戻ることにしたが、彼の名は「悪党シロ」として広まってしまった。それでも人々は彼のアイデアと器用さに驚きながら笑い声を上げ、彼に懐かしさを感じた。「なんでも来い」のシロの姿があったが、彼には特に名人と呼べるものがなかった。しかし、彼は自らの立ち位置を理解し、その瞬間が人生の新たな勝負であることをありがたく受け入れたのだった。結局、シロは黒いユーモアに満ちた名人だったのである。

