狸の札
たぬきのさつ

2024/10/19(土)

狸の札の画像

あらすじ

山の中に狸の子供が住んでいました。ある日、わなにかかったところを親切な男に助けてもらいました。

夜になり、「トン、トン」と戸を叩く音がしました。「誰だい?遅いから寝てるよ。明日まで待ちなさい。」すると、「ドン、ドン」と音が大きくなりました。「誰だい?」と男が聞くと、「狸です。今日山で助けてもらった狸です。」と答えました。「ああ、そうか、お前か。覚えているよ。」と男は言い、床から出て戸を開けました。

「何だってこんな遅く来たんだい?」と男が尋ねると、「命を助けてもらった恩を忘れるなって、親に言われたんです。」と狸は言いました。「驚いたね、狸にも義理を大事にするのか。ところで、何ができるんだい?」と男は尋ねました。「掃除、洗濯、料理、それに化けることもできます。」と狸。

男は考えを巡らせ、「本当か。一万円札に化けられるか?」と聞くと、「一万円札ですか?お安い御用です。」と狸が答えました。一瞬のうちに狸は一万円札に化けました。「おお、うまいものだね。(札を手に取って)あったかいね。」と男が言うと、「できたてですから。」と狸。

実は、男は商人からお金を借りてばくちに使ってしまったので、明日金を取りに来ることになっていました。次の日、商人がやって来て、挨拶をしました。「どうぞ、お入りください。お金を返しますよ。はい、どうぞ。」と男が言うと、商人は「これは、きれいな札だな。あったかいぞ。」と感心しました。「勿論です、お大事に。」と男。

商人はお金を持って帰りましたが、その直後に狸が戻ってきました。「だんな、あんなこと言ったらいけませんよ。商人は疑ってましたよ。あの男には金があるわけがないと思って、陽にかざしてじっと眺めたり、何回も触ったりしていました。それから二つ、四つに折って財布の中に入れちゃったんです。背中が痛くなって息ができず、挙句のおまけにおならが出ちゃいました。臭いのなんのって、お札の底を破って逃げてきました。」と狸は言いました。


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