あらすじ
年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず
ある町に、花屋のように美しいルナという女性がいた。その彼女は、毎年春になると店の前に色とりどりの花を並べ、通りかかる人々に「見てください!今年も美しい花が咲きましたよ!」と愛らしい声で呼びかけていた。彼女の花はいつも同じように咲き誇り、町の人々はそれに喜びを感じていた。
ところが、ルナの花は毎年同じでも、彼女自身は年々老いていくことに気づいていなかった。彼女は毎日鏡を見て、自分の肌の輝きが失われていくのを無視し、若々しい自分を演じ続けることに全力を注いでいた。町の人々もまた、その姿に気を使うことなく、花だけを称賛し、ルナのことは次第に忘れていく。
ある冬の寒い日、ルナはふとしたことから自分の過去の写真を見つけた。“なんて美しかったのだろう”と感傷に浸りながら、無垢な若い日々を思い返していると、突然頭にひらめいた。「そうだ、花をもっと増やせばいいのよ!」ルナは自分の美しさを取り戻すため、花の秘薬を作り始めた。その薬を使えば、自分も花のように美しさが蘇ると信じていた。
ところが、ルナの作った秘薬はこっそりと町に住む病人たちの血液から作られていた。それを知らずに飲んだ彼女は、次第に花のような美しさを取り戻していったが、その代償は恐ろしいものであった。町の人々は、彼女が華やかさの陰で何をしていたのかを悟ることはなく、毎年美しい花を心待ちにする。しかしルナは、彼女自身の心にはもう花は咲かなかったのだ。



