あらすじ
囁き千里の村
小さな村、囁き村では、みんなが秘密を大切にすることを信条としていた。しかし、村の中心に位置する酒屋の主人、源八は、人々の内緒話を聞くのが大好きで、いつも他人の秘密を探っては楽しんでいた。
ある日、村の若者たちは、ひそかに源八の店で集まり、農作物の売り方について話し合うことにした。彼らは「この話は誰にも言わないでおこう」と前置きしたが、源八は耳を澄ませて、それを聞くと、自らの商売に役立てようと決めた。優れたビジネスアイデアを入手した源八は、さっそくそれを自分の酒に織り込んで売り出した。
一方、若者たちの「秘策」は、あっという間に村中に広まり、最後には隣の村にまで伝わってしまった。結果、彼らの商売は思うようにいかず、源八は意気揚々として酒を販売したのも束の間、他の景気のいい農家たちが次々とアイデアを真似し始め、彼の客は飛ぶように減ってしまった。
村人たちは、源八の行動を見てこう言った。「内緒話はすぐに広がる。囁き千里とはまさにこのことだ。」源八もその教訓を痛感し、以後は他人の秘密を詮索するのをやめ、自身の正直な商売に励むことにしたとさ。こうして、囁き村は再び静かな日常を取り戻したのだった。



