あらすじ
櫓櫂のない海とブラックユーモア
あるところに、舟を漕ぐことを夢見る若者、タロウがいました。タロウは生まれつき両手がなかったため、櫓や擢を使うことができませんでした。しかし、彼は「櫓櫂の立たぬ海はない」ということわざを耳にし、何とか海に出たいと考えました。そこで、彼は代わりに足を使って舟を漕ぐことにしたのです。
タロウは足で漕ぐ特訓を重ね、ついに自らの木製舟を作り上げました。しかし、周囲の人々は彼を見て嘲笑しました。「どうせ無理だろう」と、彼らは言いました。しかし、タロウは負けずに舟に乗り込み、足でペダルのように舟を漕ぎ始めました。すると、最初はゆっくりでしたが、次第に速さを増していきました。「見てろ、俺はやれるんだ!」と叫ぶ彼の顔には、誇らしさが満ちていました。
楽しい冒険を思い描いていたタロウも、しばらくすると思わぬ事態に直面しました。突然、強風が吹き荒れてきたのです。波に揺れながらタロウは必死に漕ぎ続けましたが、とうとう舟は転覆してしまいました。冷たい海水に沈みそうになる彼は、「これが櫓櫂の立たぬ海か!」と叫びました。その瞬間、海の底から魚たちが顔を出し、「いや、君は深海の漕ぎ手だよ」と意地悪に笑いながら言いました。
結局、タロウは漕ぎ手としての夢を実現することはできませんでしたが、彼の頑張りは多くの人々に笑いをもたらしました。帰る方向が分からず海の魔物として名を馳せた彼は、海底の宴会に招待されることに。タロウは「困難を乗り越えたら、海の仲間が待っていた」と笑いながら、彼の運命を受け入れていました。結局、夢が叶わなかったこと自体が、タロウにとって新たな冒険の始まりとなったのです。

