石上五穀を生ぜず
せきじょうごこくをしょうぜず

意味

2024/10/5(土)

あまりに清廉すぎる人には人望が集まらないということ。

あらすじ

石上の村

昔々、石上という小さな村がありました。この村には、どんなに努力しても実らない作物があることで知られていました。その理由は、村の中心にある大きな石にありました。村人たちは、「あの石の上では五穀が育たない」と言い伝えていました。石の周りは美しい自然に恵まれ、他の村では豊作の季節が訪れても、ここには何も実りませんでした。

村の長老、元吉は、村人たちに向かっていつも「清廉な心でいることが大切だ」と説いていました。彼自身は、非常に潔癖で、村の人々に対して常に高い道徳を求めました。そのため、村人たちは元吉に恐れを抱いており、次第に彼の前では意見を言えなくなってしまいました。結果として、村はその清廉さを保ちながらも、ついには人望を失っていきました。

ある日、村に流れ着いた旅人が、驚いた様子で言いました。「どうしてこの村は、誰も実を結ばないのですか?」村人たちは、元吉の教えを思い出しながら「心が清らかであれば、豊かな実りがあるはず」と答えました。しかし、旅人はニヤリと笑って言いました。「だったら、石の上に座ってみれば良いのでは?お前たちの神聖な心は、きっと実らせてくれるさ!」

村人たちは旅人の言葉にいぶかしげで、しかし元吉の教えに従って、次々と石の上に座った結果、実を結ぶどころか、反って村の状況は悪化してしまいました。清廉すぎる人々はいかにその心を守り続けようと努力しても、実際には孤独を深めるだけで、石のように冷たくなっていくのでした。

こうして、石上の村は人々の心を通わせることを忘れ、次第に繁栄とはかけ離れた場所となってしまったのです。人々は元吉を尊敬しつつも、彼の清廉さの代償として育たない作物を恨み、石の上で心の豊かさを求め続けるのでした。清らかさが人を孤独にすることを、彼らは知る由もありませんでした。


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